松下幸之助 2015年2月
![全盛期の肖像](img1/mat_kon1.jpg)
日本を代表する企業家の一人。
経営の神様の異名が固有名詞として定着している。
神様といえば彼なのである。
一代で世界的企業を築き上げた。
実績を見れば誰もがパワフルな人物を想像するだろう。
下の若きの日の画像も、普通に健康な青年に見える。
![全盛期の肖像](img1/mat_kon2.jpg)
![全盛期の肖像](img1/mat_kon3.jpg)
ところがまったく体力のない虚弱体質だった。
常態が半病人だったと言って過言でない。
つまり健常者とは言えない障害者に近い水準だった。
虚弱は血筋で兄弟多かったが、大半が若死にしている。
彼自身も中年までは生きられないと見られていた。
だから健常者と同じようには仕事できなかった。
十代から7年間電気工事の仕事に携わる。
連日の肉体労働に耐えられず、2〜3日働いては1日休養。
それが精一杯のローテーションだった。
虚弱ぶりも大成功者としては稀有な特徴である。
しかも戦前は日本人全体の平均寿命が極めて短かった。
ところが激動の戦中戦後を迎えた時、すでに壮年期。
青年時代の医者の見立てではすでに故人となる年齢。
現実は意気軒昂で会社は益々発展、高度成長期を迎える。
世界的な家電王国を築き、基幹産業の一翼を担う。
パワフルな人物でも早死にする例は珍しくない。
天才スティーブ・ジョブズも五十代で病没した。
超虚弱な彼がなぜ94才まで生きられたのか。
現代の平均寿命も大幅に上回る。
おそらく虚弱だからこそ、常に細心の健康管理していた。
無茶をすればたちまち、体が悲鳴をあげる。
常に体と対話し、向き合っていたと想像できる。
たゆまない自己管理の賜物、と考えるのが自然だろう。
美学の立場からも彼の生活は興味深い。
恵まれなかったのは健康だけではない。
経歴もエリートの対極と言えるたたき上げ。
最低限の義務教育すら修了していない。
家が破産して幼くして丁稚奉公に出されたためだ。
今なら中卒以下ということになる。
起業も吹けば飛ぶような家内手工業的水準。
そこから一代で世界的企業に発展させた。
すなわち20世紀を代表する世界的経営者の一人。
画像にあるように米タイム誌の表紙にもなっている。
経営の神様と言われる所以だ。
彼亡き後の同社は順風満帆ではない。
近年の経済構造の激変に、対応仕切れていない。
彼の姓を冠した社名も消え、英語名に変わった。
かつては業界随一のブランド力を誇っていた。
値引き幅の少ないメーカーの代表だった。
そのブランド力ももはや有名無実。
世界でも国内でも苦戦が続いている。
一方同じ基幹産業、自動車業界は今も栄華続く。
トヨタは日本を代表する企業であり、世界一でもある。
精彩を欠く家電業界とは対照的。
カリスマ経営者が育てた松下電器。
新生パナソニックにカリスマはいない。
はたして往年の栄光を取り戻せるのか。
同社の奮起を期待したい。