田中角栄 2012年9月18日
当欄ではこれまで日本の首相が一人も登場していない。
特に理由はなく、単に思い当たらないだけ。
国のトップにしては目立ちにくい存在なのかも。
現首相が誰か知らない日本人もけっこういるという話もある。
誰でも同じと感じている人も多いようだ。
戦後に限っても数ばかり多くて、際立った人物は少ない。
そんな中で一人際立っているのが田中角栄。
コンピュータ付きブルトーザという異名が存在感を物語る。
バイタリティにあふれ、仕事量も抜群に多かった。
人間的には器の大きさが抜群だった。
誰にも気遣いする人で、その細心さがコンピュータ付きの所以か。
人は接する相手によって人間が変わる。
器が小さいほど人に多くの欠点を感じ、目くじらを立てる。
そのくせ自分の欠陥には鈍感で、気がつかない。
自覚がないので何ごとも人のせいにする。
ようするに器とは人を受け入れる容量に他ならない。
小人とは人を受け入れる容量が小さいのだ。
田中の人望の厚さは、器の大きさに比例していた。
人望の質量の大きさで際立っていた。
それが社会的実力と相まって、政治家として頂点にのぼりつめる。
貧相な首相も多い中で、田中は器に相応の風格も感じさせた。
近年の首相見ても匹敵する人物は見当たらない。
タイプとしては鈴木宗男氏がやや似ている。
だが田中のような活躍は実現できていない。
田中の自慢の愛娘、真紀子女史も華やかな個性で父の跡を継いだ。
だが器の大きさでは父に遠く及ばない。
器とは努力して大きくできるものではないようだ。
戦後を代表する政治家である田中だが、晩年は大きく暗転する。
一度は国家の頂点に立った人物が、収賄罪等で逮捕拘留される。
さらに実刑判決も受ける。
それでも田中の人望は揺るがず、政界に君臨し続ける。
表舞台から降りても影響力の大きさから闇将軍と呼ばれた。
それでも帝国は必ず滅びる。
一代で築いた帝国も徐々に弱体化していく。
最晩年は病気もあり、年齢以上に痛々しいほど衰える。
故に最後も大政治家らしい大往生とはいかなかった。
しかし近年の首相と比較すると、器の違大きさが際立つ。